これは、"藤井風"をモデルにしたフィクションである。
彼が生まれたとき、両親は岡山で町はずれの喫茶店を経営していた。
彼には年の離れた3人の兄姉がいた。
10年ぶりの新メンバーである彼を、家族がどんなに可愛がったか想像して欲しい。
家族はそれぞれに、彼をいつくしみ、できる限りの愛情を与えた。
母親は、母性の赴くままに、どんな時も彼を包み,照らし、守った。
彼のやることを常に褒めたたえ、その愛情は、彼に絶大な自己肯定感をはぐくませた。
一方、父親の彼への想いは、年齢をおして出産に挑んだ母親への深い愛情と感謝の表れでもあった。
時に厳しく、しかし決して無謀な方法ではなく、彼自身が正しい道を選べるように、この世の道理を諭し、己を制することを教え、導いた。
生命に対する崇高な教えと、隔たりのない世界観と、未来に向いた発想が、そこにはあった。
父親からのどんな厳格な教えにも、母親の笑顔の励ましと、家の中に常に流れる音楽が彼を後押しした。
彼は、真綿のような吸収力でそれらをわが身に取り込んでていった。
ピアノの手ほどきを受ければ、考えることもなくピアノを弾いた。
親を喜ばせたいと思うのは、彼にとって当然のことだった。
そして、兄姉達もまた子供ながらに、世話焼き甲斐のある小さな弟を、まるでペットのように可愛がった。
母親が5人いるようなものである。
彼はその愛情に応えるべく、時代の流行や発信力、その他あらゆるものを彼らからも吸収していった。
すると、いつのころからか、注がれた愛情を上回る大きさの愛情が彼の中に生まれ、それが音楽として出てくるようになったのだ。
彼は、感性の赴くままに、自然のうちに音楽を紡ぎ出し、表現するようになった。
溢れ出る愛情を世界へ届ける為に。
藤井家の皆様、大変失礼しました。
只々、ありがとうございます!